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2012年11月25日 (日)

赤堀奈々プロの引退試合~エピローグ~

 引退の話を聞いてから、いろんなことを考えました。何か自分にできることはないか、これをやったら喜んでもらえるんじゃないか、とか。贈り物に関しては、 センスに自信がないので、尚更でした。そして、思いついたのが寄せ書きでした。しかし、あまり会場で、他の赤堀プロファンとの交流を持ってこなかったので、数が集まるかという不安もありました。

 そこで、今交流のある神戸の“てんこもり”に色紙を送って、応援してる方々にメッセージを書いていただきました。そしたらナント、コーチの辻村プロまでが、メッセージを書いてくださいました。これはサプライズでした。いろんな方のメッセージを読んでみると、目頭が熱くなりました。
 日にちが足りなくて、その他の遠方の方に、色紙を送って書いてもらう時間がなかったことが残念でしたが、関東最後の試合となった伊藤園で、いろんな方にメッセージを書いていただくことができ、なんとか形になりました。

 会場には、愛娘の最後の晴れ舞台を見ようと、ご両親の姿もありました。初日は、観戦に行けませんでしたが、良いゴルフだったようです。特に、難しい9番と17番でバーディーをとるなど、全く限界を感じさせない内容だったようです。結局、2日目にスコアを落とし予選落ちしてしまいましたが、前半までは、良いゴルフをしてました。やっぱり、辞めてしまうのはもったいない。そんな印象でした。
 ホールアウト後、ご両親に「お疲れ様でした。」と一礼したところ、応援していた我々に、「どうも、有り難うございました。」と丁寧に深々と頭を下げてくださいました。

 森永製菓の後には、セカンドQTがありましたが、当然、試合結果の一覧の中には、“赤堀奈々”の名前はありませんでした。毎年、この時期になると、ハラハラしながら、結果を確認していたので、「あぁ、本当にやめちゃうんだぁ…」と現実を認識するようになりました。

 そして、とうとう来て欲しくなかった日が、来てしまいました。
 朝の練習から見ようと早めに会場入りしましたが、会場はドライビングレンジが立ち入り禁止でした。正直、最後にショット練習をしっかり見ておきたかったのですが、残念です。

 仕方なく、スタートホールの10番ティーの後ろで、待つことにしました。そして、入ってくる赤堀プロとご挨拶し、がっちり握手を交わしました。前にも書きましたが、ファンと握手するとき、あれほどガッチリと握ってくれるのは、赤堀プロだけです。まるで、男性と握手しているように感じるくらい、アスリートらしい手をしています。そして、ファンとしては、しっかり握ってもらえるのは、何より嬉しいことです。万感の思い…「頑張ってください。」しか言えませんでした。それに対して「頑張ってきます!」と笑顔で答えてくれました。

 そしてついに、ティーオフ。「スタジオアリス所属、赤堀奈々!」と普通にコールされました。「今週で引退」とか言ってくれないんだあ、と少し残念に思いました。
 初日にもかかわらず、5000人を超える大勢のギャラリーがいました。ティーグラウンドの周りも、その数の多さを感じさせました。しかし、この中の何人の人が、赤堀プロの引退試合を認識してるのだろう?昨年の古閑美保プロの引退は、メディアやゴルフファンが大騒ぎでしたが、殆どの場合、ネット上などで報道される程度で、世間的には、静かに引退していくことが多いのが現実です。
 赤堀プロの調子は、(もちろん、私の見た目にはですが)相変わらず良さそうでした。コースは比較的フラットで、ガードバンカーのプレッシャーも少なく、易しそうなコースに見えましたが、風が少し強めだったのと、グリーンが目のあるベントグリーンで、選手たちはパットに苦労していました。最後の試合...平常心でという方が無理、特にその難しさは、細かいプレーほど難しく、特にパットに現れた感じがしました。
 2日目のティーオフの時、1番ティーでスタート待ちだった辻村明須香プロが、10番ティーの真後ろに来て、「頑張れ~!」と声援を送って戻っていきました。それを見て、本当に最後なんだという実感が再び湧いてきました。

 寄せ書きの色紙は、最後のラウンドの後に渡したかったので、2日目のホールアウト時の状況は微妙でした。
 そこで、赤堀プロに「お渡ししたいものがあるんですが、最後のラウンドの後に渡したいんです。微妙な位置なので、もし万が一、通らなかったら、ギャラプラに来てもらえますか?」と少々言いにくく、無理なお願いをしました。すると「あと1時間くらいで結果が分かると思うので、ここで待ち合わせましょう。」と言ってくれました。
 結局、無事に予選通過し、待ち合わせ場所には、ほっとした笑顔で赤堀プロが現れると、雨の中待っていた我々に「寒くないですか?」と気遣ってくれました。そして最終日の激励の言葉だけ伝えて、お別れしました。ちなみに、2日目も雨の中、入場者数は、5000人近いギャラリーがいたようです。
 観戦たちとスコアを確認していると、ある期待が湧いてきました。3オーバーに、赤堀プロの他、同組で回っていた穴井詩プロ、OUTスタートで1組違いの辻村明須香プロの名前がありました。最終日の組み合わせは、スコア順を最優先に、スコアカードの提出順が第二優先となって決定されます。ということは、明日はまさか・・・!!o(^o^)o
 そして、ペアリングが発表され、奇跡が起こりました。最終日の組み合わせは、赤堀奈々プロ&辻村明須香プロ&穴井詩プロ!多くの女子プロや関係者たちが、“神”という言葉を文字や口にしました。

 さらに、ハプニングがありました。初日+4で出遅れていた茂木プロが、+2まで戻し、さすがと思わせながらも、最後に2つ落として、まさかの予選落ちとなりました。これによって、最終日の仕事がなくなったキャディのサスケさんが、何度かキャディを勤めた赤堀プロの最後のプレーを観戦することができました。

 運命の最終日、泣いても笑っても、これで最後の試合です。
 ティーに入る直前に挨拶に行きました。すると、最後のキャディを勤めるコーチの辻村明志プロが、右手を差し出してくださり、ガッチリ握手しました。さらに、「スタジオアリス所属、赤堀奈々!」のコールに、最も仲の良い辻村明須香プロが、ギャラリーに「みなさ~ん、今日、赤堀奈々は引退試合です。応援よろしくお願いしま~す!」と呼びかけました。これには本人を含め、関係者やファン皆が感動しました。
 ショートパットには、苦しんだ3日間でしたが、ティーショットは、観る度に“やぱり引退は惜しい”と思わせるくらい好調でした。
 かなりの強風が吹いてましたが、晴天に恵まれた最終日で、私はブログで最後の観戦レポートをするために、GPSナビとレーザー式の距離測定器を使いながら、メモを取っていましたが、正直のところ、赤堀プロの動作一つ一つをもっとしっかり観ておきたいという葛藤もありました。しかし、元々、ブログを始めたきっかけが、当時あった“赤堀奈々プロ公式応援サイト”の皆さんにレポートするためだったので、できるだけ詳細にレポートすることにしました。ただ、いつもは、ブラインドホールや砲台グリーンのときに、必ず先行して「ナイスショット!」「ナイスオン!」の声で選手に結果を分かるようにしてましたが、今回は、できるだけ間近で観ることにしました。一緒について回っていた私の悪友も、その辺を察知して、代わりに先行して、声を出してくれていたので助かりました。

 最終ラウンドは、いろんなことがありました。
 16番のセカンドショットでは、ショートアイアンでザックリのミスがありました。50уくらいしか飛ばない、このクラスの選手ではあまり見ないほど大きなミスでした。赤堀プロ自身、得意な距離だったと思いますが、最後の試合という思いが影響していたのかもしれません。
 17番は、強いアゲンストで、ティーショットの距離が出ず、軽い上り200Yが残ったところで、直ドラを披露してくれました。素振りの段階で気づき、距離も離れていたので、思わず「ドライバー!」とつぶやいてしまいました。その声に、周りから「ファンサービスかな?」という声も聞こえてきました。7年間応援してきて、初めて見る赤堀プロの直ドラでした。結果は、少しスライスして、グリーン右に外れまはしましたが、真っ直ぐに行けば、ピンそばに付きそうな当たりでした。もちろん、「ナイストライ!」の声が響きわたりました。穴井詩プロもアプローチの難しい位置に外しながら、パーを拾ったので、並んで18番に上がってきた二人に「ナイスパー!」と声をかけました。穴井プロも「有り難うございます」と返してくれました。穴井プロは男性並の飛距離を出しますが、見た目とは異なりと言っては失礼ですが、非常に感じのいい子です。

 6番ホールは、珍しくプッシュアウトしましたが、見事なセカンドショットで、ピン奥につけました。入れ頃の距離ながら、下りの難しいラインで、この日バーディーオーラが感じなかった赤堀プロでしたが、このときは入りそうな雰囲気がありました。長いこと応援しているせいか、なんとなく、入る、入らないが分かるようになってます。そして、バーディーのあとのホールインターバルで、赤堀プロと“グータッチ”させてもらいました。
 7番でティーショットのあと、腰のストレッチを始めたのが、少し気になりました。そして、8番のティーショットを曲げたときは、打ち方も不自然だったので、心配しました。無事にホールアウトして欲しいと願うばかりでした。

 そして最終9番ホール、大勢のギャラリーに「頑張れ!」と迎えられながら、ティーにあがると、最後のティーショットは、素晴らしいショットでした。「絶対に悔いは残さないぞ」という気持ちが伝わってくるかのような渾身の一撃でした。ボールが、赤堀プロらしい軽いドローを描きながら目標方向に飛んでいくと、「ナイスショ~ッ!!」と、これまでにない大きな歓声があがりました。もしかしたら、ティーショットに対する声援としては、プロ生活10年間で最も大きな歓声だったかもしれません。ボールは、最も狭くなっている部分のフェアウェイを捕らえました。
 ティーから降りる前に、試合中としては異例の記念撮影が行われました。聞いたところによると、同門の諸見里しのぶプロがPAR72にかけ合って、帯同カメラマンを付けてもらっていたようです。

 9番グリーン周りは、とてもINスタートの組とは思えない、たくさんのギャラリーに囲まれていました。ちなみに、最終日の入場者数は、実に10000人を超えていたようです。
 ツアー生活最後のバーディーパットには、いろんな思いが込められてました。「最後にカッコよく決めて欲しい!」という我々ファンや仲良しの辻村明須香プロ&同門であり先にタップインして赤堀プロのバーディーパットを最後に残した穴井詩プロの願い。「このパットだけは、どうしても入れさせてやりたい!」と慎重に何度もにラインを読むキャディを務めるコーチ辻村明志プロから愛弟子への思い。そして何より、「悔いを残さないためにも、絶対にこのパットだけは決める!」というパットの名手・赤堀奈々プロの執念。この3日間は、決してパターの調子は良くなかったと思いますが、このときの赤堀プロには、バーディーオーラがはっきりと見えました。
 ボールがカップに向かい「入れ!!」という声援と共に、ボールはきれいにカップインする文句なしのバーディー!「ナイスバーディー!!!」の声援と喝采の拍手は、 まるで優勝したかのような騒ぎでした。一方の赤堀プロは、微笑みながらいつものように右手をあげました。もちろん、ティーショットのとき以上の喝采で、正にプロ生活で一番の喝采を浴びたのではないかと思います。
 いつものホールアウトよりも、にぎやかに選手やキャディさんがハグしていると、グリーンサイドには、妹分の堀奈津佳プロの姿もあり、にぎやかな輪の中に加わっていました。 グリーンから下りてくる辻村明須香プロと穴井プロは、涙を流してました。続いて下りてくる赤堀プロは「お疲れ様でした!」というファンの声に、引き締まった表情で、「有り難うございました!」と応えました。その直後、通路脇から「お疲れ様~!」の声と同時に、きらきらのテープが頭上から投げ込まれました。それでも赤堀プロは、笑顔で「(テープが)足に絡まっちゃったよ~。」と笑ってました。

 昨年引退した古閑プロは、最終ホールのグリーンに向かう途中から、涙を流してました。赤堀プロが泣いたら、きっと自分たちも泣いてしまいそうでした。しかし、赤堀プロは、最後まで笑顔でした。

 去り際に「あとでサインお願いします。」とお願いしようとしましたが、ギャラリーが多すぎて、お疲れ様以外の言葉をかけられませんでした。仕方なく通路入り口の柵の前で、仲間たちと、戻ってきてくれることを信じて、ひたすら待つことにしました。
 待ってる間は不安でした。何も伝えてないので、「戻ってきてくれるかなぁ。」とか、「昨日、渡したいものがあるって言った話忘れてないかなぁ。」とか。サイン以上に色紙を渡すことが重要でした。
 しばらくすると、玄関から出てくる赤堀プロが見えました。しかし、他の選手たちと共に、逆の方向に向かっていきました。すると、胴上げが始まりました。かなり高々と上げられ、最高で2mくらい上がってました。その後、再びクラブハウスに入っていきました。
 「奈々さんの性格上、このまま帰ったりはしないよ。きっと戻ってきてくれるよ。」など不安と期待の交錯する中、やがて出てきてくれました。そして、ツアープロ生活最後のサイン会が始まりました。我々だけでなく、相当な数の列ができました。最初は当てもなくサインを待ってるギャラリーが殆どかと思いましたが、そうではなく、赤堀プロ最後のサインを待っている方が多かったようです。シード選手以外で、これだけの列ができるのも異例のことでした。そして、サイン会の間に、「いろいろ片づいてからで構いませんので、あとでギャラプラに来てもらえますか?」とお願いすると、「今でいいですよ。」と、サインを終えた後、ギャラリープラザに来てくださいました。東北福祉大の後輩にあたる佐伯三貴プロが優勝しそうだったので、あまり時間がありませんでしたが、寄せ書きを書いた色紙2枚を、無事に渡すことができました。そして、記念に写真も撮りました。両手に色紙を持っていただき、集合写真も撮りました。
 さらに、赤堀プロは、その場でボールにサインを入れて、その場にいたファン全員に配ってくれました。運良く私がいただいたボールは、“7”番でした。思わず「おっ!当たりだ!」と叫んでしまいました。しかもボールは、(箱に入れて持ってきていたので新品かと思いましたしたが)よく見ると使用したものでした。やはり、ファンとしては、実際に使用したボールの方が嬉しいものです。

 その後、赤堀プロは、後輩・佐伯三貴プロの優勝を祝福するために、18番グリーンに向かいました。そして、抱き合って佐伯プロを祝福しました。表彰式の後も、二人はツーショットで、クラブハウスに戻っていきました。佐伯三貴プロの優勝もミラクルの一つでした。

 本当に、これ以上ないくらい素晴らしい引退試合でした。スポーツは、筋書きのないドラマと言われますが、誰かが筋書きを書いてるんじゃないかと思わせるような、ドラマチックな3日間でした。

 2日目最終ホールも赤堀プロらしいハラハラさせられるシーンでしたし、最終日最終ホールのバーディー締めも赤堀プロらしいきれいなバーディーでした。ホールアウト後の周囲の反応を見て、如何に関係者の方々から愛されていたかが伝わってきました。また惜しまれながら引退できるというのは、潔(いさぎよ)くて、かっこよくて、幸せなことかもしれないと感じました。
 これから、どんなゴルファー生活を送るのかは、明確には決まってないようですが、レッスンやプロアマがあれば、積極的に参加したいと思います。
 偶然から始まった出会いに、素晴らしいショット、素晴らしいプレイ、そして素晴らしい人柄に素敵な笑顔、会場ではもう応援することは出来ませんが、これからも、第二のプロゴルファー人生を応援したいと思います。

 尚、このブログのラウンドレポートも、3刀流(GPSナビ+計測器+歩測)は、今大会が最後です。ちょと燃え尽きた間があるので、今後は、もう少しのんびり観戦したいと思います。

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コメント

お疲れ様です。

奈々ちゃんの引退で、観戦応援も同様に燃え尽きてしまいました。
来年も、観戦には、行くと思いますが…

イベントやレッスンがあれば、オイラも是非参加したいですね。

さて、今日は自分のゴルフです。
観戦で、イメージはバッチリです。

でゎ、また。

7ふぁんさん:
 私も燃え尽きました。それくらい、あのバーディー締めはインパクトありました。
 来年は、観戦を減らして、練習を含めて、自分のゴルフを優先したいと思います。

お疲れ様でした。
情景が目に浮かんできました♪
お心遣いに感謝です! ありがとう(^^)

とんとんさん:
 奈々プロとの繋がりが今ほどになったのも、あの応援サイトがあったからだと思います。心から感謝の気持ちでいっぱいです。
 きっと、奈々プロ自身も同じように思ってるのではないでしょうか。
 奈々プロは、これからもゴルフに携わっていくようですので、奈々プロと応援している皆様とのご縁は継続していきたいと思います。
 奈々プロ、最後までサイコーでした!

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